ごあいさつ

J-MICCの近況と近未来

田中 英夫

主任研究者 田中 英夫

2005年に研究参加者の募集をはじめたJ-MICC研究は、2013年末日の時点で、9万8千人のリクルートを終え、目標の10万人まで、あと一息となりました。

昨年1月には、J-MICCの各研究サイトが保有する生体試料や測定データを、広く日本の医学研究に有効活用できるよう、外部の研究者からの利用申請計画を検討し、これを各研究サイトに斡旋・調整するための、共同研究促進委員会を発足させました。現在までに7件の申請があり、適宜、共同研究の形で計画の実現に向け、取り組んでいます。

また、ベースライン時の情報と400あまりの遺伝子多型(SNP)情報を組み合わせた横断研究については、慢性腎機能障害、肝機能異常、耐糖能異常などに関連するSNPsを多数同定し、この2年間で、12編の英文原著論文が発表されています。

今年度、特に目立った取り組みとしましては、バイオバンクジャパン(BBJ)との共同研究として、BBJが研究対象としていますがんをはじめとする47の疾患について、疾患関連SNPsを探索、同定するためのGenome Wide Association Study(GWAS)を実施することです。その際に使用します一般健常人コントロールとして、約1万4千人分のDNAを今年度末までにBBJに提供します。このGWAS共同研究は、日本人のがんを含む主な慢性疾患の遺伝的感受性を同定する、決定的に重要な研究になると思われます。そして、この1万4千人分のGWASの結果は、BBJからJ-MICC研究の中央事務局に返されます。当研究組織としては、この返されたGWASデータを有効に活用し、がんの個別化予防法の開発につながる研究を進めて行きます。また、これを外部の研究支援活動にも活用し、生体試料などと共に、日本の医学研究の基盤的インフラにしたいと考えています。

昨年5月には、東北メディカルメガバンク(MMB)の地域住民コーホートの募集が開始されました。2016年までの4年間で、宮城県、岩手県内で8万人をリクルートする予定とのことです。私達J-MICCは、日本国内にあるゲノムコーホート研究が互いに連携、協力して、将来の統合解析が可能となる環境を整えることが重要であると考えています。これまでに、山形分子疫学コホート研究や、慶応大学鶴岡メタボロームコホートとの連携を進めてきました。また、国立がん研究センターが運営する代表的なゲノムコーホート研究の1つであるJPHC-NEXTとは、将来の統合解析ができるよう、互いの調査票データの統合に向けた妥当性の検証作業を進めています。今後、東北MMBとの連携も視野に入れ、ゲノムコーホートでのオールジャパン体制が生まれるよう、研究者同士の交流と情報交換を一層進めていきます。

2014年1月吉日

主任研究者(平成22年5月22日〜)からのごあいさつ

愛知県がんセンター研究所 疫学・予防部 部長 田中 英夫

私たちが取り組んでいる「日本多施設共同コーホート研究」は、我が国で最初の本格的な分子疫学コーホート研究です。

この研究は、集団を対象に、がんをはじめとする生活習慣病の発生に関わる要因はなにかを、生活環境と遺伝的要因の両方から探り、一人ひとりの体質に最も合った生活習慣病の予防法、つまりオーダーメード予防法の確立に役立つ情報を得ることを目的としています。英語の頭文字をとって“J-MICC Study(ジェイミック スタディ)”とも呼んでいます。

2005年から、ジェイミック スタディに参加協力してくださる35歳〜69歳の方を募集しております。現在までに、全国の大学やがんセンターなどの共同研究施設13ヵ所で、約8万人の研究協力者を得ており、引き続き2013年3月まで、研究協力者の募集を行う予定です。また今年度は、研究参加から5年目を迎える方々に対して、順次、第2次調査を開始していきます。そして、上記の研究目的を達成するために必要な研究協力者の健康情報やがんをはじめとする生活習慣病の発症を把握する追跡調査を、2025年まで続ける予定です。さらに、追跡調査が終了した後の2035年まで、次世代の優れた研究者がデータの解析を実施できるように、関連資料を安全に管理していきます。

このようにコーホート研究は、ヒト集団を対象として調査を行う壮大な観察研究であり、その目的を達成するためには、長期的視点に立った十分な資金、時間、人手、組織力が必要となります。そのために最も重要なことは、国民の皆さんに、このような息の長い研究インフラの必要性をわかっていただき、次世代の日本人に、より健やかに生きられる社会を残そうという思いを繋いで行くことだと考えます。

J-MICC研究の今後に、皆さんの温かいご理解とご支援をお願いいたします。

2012年1月6日

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