月別アーカイブ: 2月 2020

日常の生活活動および余暇の運動とメタボリック症候群との関係

研究ファイルNo.55:余暇の運動だけでなく日常の生活活動もメタボリック症候群の予防に有効である可能性  肥満やメタボリック症候群にかかっている人は世界的に増加しています。運動は肥満予防に有用ですが、日本において日常の生活活動や余暇の運動とメタボリック症候群との関連を詳細に検討した報告は多くはありません。そこで私たちは、全国のJ-MICC研究に参加された方のうち、虚血性心疾患・脳卒中にかかった方や血液検査データのない方などを除いた35~69歳の日本人男女24,625名(男性12,709名、女性11,916名)について、日常の生活活動や余暇の運動とメタボリック症候群やその構成因子との関連を検討しました。  男女とも、余暇の運動量が多いほど、メタボリック症候群を有している割合が低いという結果でした。さらには、日常の生活活動量が多いほど、メタボリック症候群を有している割合が低く、この関係は、年齢、調査地区、喫煙・飲酒習慣、教育水準、エネルギー摂取量、睡眠時間、閉経状況(女性)および余暇の運動量といった背景や生活習慣の個々の違いとは関係なく認められました(図1)。とくに、日常の生活活動量が多いほど、善玉コレステロールである血中HDLコレステロールの低値(血中HDLコレステロールが男性<40mg/dl、女性<50mg/dl)を示す割合が非常に低いという結果でした(図2)。

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糖尿病患者の腎機能に関連する遺伝子多型

研究ファイルNo.54:日本人糖尿病患者の腎機能に関連するゲノムワイド関連解析  日本など先進国で血液透析が必要となる重症腎不全の原因となる病気は糖尿病患者さんに起こる糖尿病性腎症です。糖尿病患者さんの腎機能障害は一般に糖尿病のコントロールが不良であったり、罹病期間が長かったりすると起こりやすいとされています。しかし必ずしもそうとは言い切れず、糖尿病は比較的軽いのに腎機能が悪化していく患者さんが少なからずおられます。遺伝的因子の関与が疑われています。  今回、私たちはJ-MICC研究に参加された約1万4千名の研究参加者の中から955人の糖尿病患者さんを選び出し、腎機能の指標である推定⽷球体ろ過率(eGFR)と、約800万か所の遺伝⼦多型との関連をゲノムワイド関連解析(GWAS)という⼿法で網羅的に調べました。  結果を、ゲノムワイド関連解析の際に結果を⽰すのに⽤いられるマンハッタンプロットという図で⽰しました(図1)。横軸に染⾊体番号を、縦軸に-log10P-valueを取っています。これを見ますと第13番目の染色体に腎機能eGFRと関連が強い遺伝子多型があることがわかります。

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遺伝的リスクスコアと腎機能との関連

研究ファイルNo.53:36個の腎機能に関連する遺伝的多型と腎機能との関連  慢性腎臓病(以下:CKD)は慢性的に腎臓の機能が低下し、体内のイオンバランス保持や老廃物の排出が難しくなる病態です。我が国のCKD患者数は、約1,330万人であると推計されています(2013年)。また、CKDを経て、人工透析が必要になる方も多く、個人のQOL低下や生産力低下など社会への影響も大きいと考えられています。  近年、CKDに関与する遺伝的要因が明らかになっており、J-MICC Studyでも腎機能と関与する遺伝的変異を菱田らが2018年に報告しています(研究ファイルNo.46:日本人における腎機能関連遺伝子の網羅的解析)。  こうした背景をもとに、今回の研究では、遺伝的な要因の累積的な効果とCKDとの関連をJ-MICC Studyの参加者11,293名を対象に検討することにしました。  その結果、18個の一塩基多型(SNP)をもとに計算した遺伝的リスクスコア(GRS)(図1)が上昇すると、腎機能のリスクも上昇するという結果を得ました(図2)。さらに、

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栄養パターンとメタボリック症候群との関連

研究ファイルNo.52:栄養パターンとメタボリック症候群の有病率との関連:日本多施設共同コーホート研究ベースライン調査から  食事とメタボリック症候群(Metabolic syndrome、MetS)との関連を調べる方法はいくつかあるが、最近、個々の食品ではなく食パターンに着目した分析がよく用いられている。これには、ある特定の理想的と考えられる食事パターンにどの程度従っているかによって評価する方法(a priori approach)や、手持ちの食事摂取データに主成分分析や因子分析を適用し、食パターンを抽出する方法(a posteriori approach)などがある。栄養パターンの分析は、手持ちの栄養摂取データに主成分分析や因子分析を適用してパターンを抽出する方法であり、最近、中国、イラン、アフリカにおけるいくつかの研究において、この方法を用いてMetSや空腹時血糖値との関連が検討されている。  今回、日本多施設共同コーホート研究のベースライン調査に参加した35-69歳の男女30,108人を対象として断面調査を行い、栄養パターンとMetSとの関連を検討した。食習慣は、46項目の食物摂取頻度調査によって評価した。MetSの診断は、Joint Interim Statement Criteria 2009に基づき、腹囲の代わりにBody Mass Indexを用いて行った。

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