月別アーカイブ: 5月 2022

アルコール摂取パターンとメタボリックシンドローム要因との関連と、アルコール摂取量低減による変化のシミュレーション:日本多施設共同コーホート研究における横断研究

研究ファイルNo.70:アルコール摂取パターンとメタボリック症候群関連要因との関連  飲酒はがんと直線的な関連が報告されている一方、循環器疾患とはJ字型の関連が報告されています。アルコール摂取は、高血圧や耐糖能異常とは正の関連、脂質異常症とは負の関連を示すため、異なる方向の関連が存在することを考慮する必要があります。さらに、メタボリック症候群(Mets)関連要因に対する飲酒量と飲酒頻度の効果を合わせて比較した研究は限られています。本研究では飲酒量と飲酒頻度からなる飲酒パターンとMets関連要因との関連を明らかにした上で、飲酒量と飲酒頻度を減少させた際に関連要因を有する者がどう変化するかを見積るために横断研究を実施しました。  解析対象者は、日本多施設共同コーホート研究ベースライン調査に参加した35~69歳の男女のうち、禁酒者や、高血圧または脂質異常症、糖尿病の治療歴がある者などを除外した37,371名(男性16,559名、女性20,812名)です。アルコール摂取量は男性で7分類、女性で5分類に、摂取頻度は男女とも6分類に分け、更に、アルコール摂取量を男性で0.1-19.9、≧20.0 g/日、女性で0.1-9.9、≧10.0 g/日に群分けした上でもその影響を解析しました(アルコール20gはビール500ml相当)。また、アルコール摂取量と摂取頻度を表1に示した条件で減らすと仮定し、Mets関連要因およびMetsを有する者の割合を算出しました。

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血漿ホモシステイン・葉酸・ビタミンB12値および葉酸摂取量と高血圧症との関連

研究ファイルNo.69:血漿ホモシステイン値と高血圧症との関連  ホモシステインは、必須アミノ酸であるメチオニンの代謝中間生成物として、体内で生成されるアミノ酸です。メチオニンの代謝に関わる代表的なビタミンである葉酸やビタミンB12の欠乏は、メチオニンの代謝を停滞させ、細胞内のホモシステインを増加させます。細胞内で増加したホモシステインは血中に移行して、心血管疾患や脳卒中のリスクを高めることが知られています。いくつかの研究は血中ホモシステインの増加が高血圧症と関連することを示唆していますが、関連を評価するにあたって、メチオニンの代謝に関わる葉酸やビタミンB12を考慮している研究はほとんどありませんでした。そこで今回、日本多施設共同コーホート研究(J-MICC Study: Japan-Multi Institutional Collaborative Cohort Study)に参加された方々の調査データにもとづいて、血中葉酸・ビタミンB12値および葉酸摂取量を考慮して血中ホモシステイン値と高血圧症との関連を評価するとともに、メチオニン代謝関連ビタミン値と高血圧症との関連もあわせて検討しました。  本研究では、血漿ホモシステイン・葉酸・ビタミンB12値を測定した35〜69歳の男女2,079名(男性: 1,046名、女性: 1,033名)を解析対象者としました。対象者の葉酸摂取量は食物摂取頻度調査票を用いて推定しました。対象者の安静時の座位血圧について、調査スタッフが自動血圧計を用いて測定しました。高血圧症は、最高血圧140mmHg以上または最低血圧90mmHg以上、あるいは血圧を下げる薬の服用のいずれかを満たす場合としました。高血圧症との関連を評価するにあたって、統計学的手法を用いて関連に影響を与える他の要因(年齢や飲酒、BMIなど)を考慮しました。また高血圧症に対する血漿ホモシステイン・葉酸・ビタミンB12値および葉酸摂取量の影響をお互いに調整して関連を評価しました。対象者を男女別に各測定値の小さい順に並べて4等分(四分位群:測定値が小さい値の群の順にQ1、Q2、Q3、Q4)に分けて分析を行いました。  その結果、血漿ホモシステイン値の第2〜4四分位群(Q2〜Q4)における高血圧症の有病割合は、最低四分位群(Q1)と比べて、男性でそれぞれ1.75倍、1.80倍、2.36倍、女性でそれぞれ1.17倍、1.48倍、1.86倍と有意に増加しました(図1)。また男性の血漿葉酸値の第2・4四分位群(Q2・Q4)における高血圧症の有病割合は、最低四分位群(Q1)と比べて2.22倍、1.98倍と高く(図2)、葉酸摂取量については第3四分位群(Q3)で0.60倍と低いことが観察されました(図3)。女性の血漿葉酸値および葉酸摂取量は高血圧症と関連しませんでした(図2・3)。女性において血漿ビタミンB12値が高血圧症と正の関連を示しました(図4)。

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