月別アーカイブ: 9月 2022

授乳を行うことはメタボリック症候群を予防するか:横断研究

研究ファイルNo.78:授乳はメタボリック症候群を予防するか  メタボリック症候群は肥満、高血圧、血中コレステロールの異常(脂質異常症)、高血糖から成り立つ状態であり、心疾患、がん、腎臓病、早期死亡などの一因とされています。そして、子供に授乳を行った経験(授乳歴)のある女性では、このメタボリック症候群が生じにくいことが報告されています。しかし、授乳を行うことはメタボリック症候群を予防しないとする報告もあり、これまでその効果について明確な結論は出ていませんでした。また、授乳を行うことは糖尿病や心疾患を予防するものの、年齢とともにこの予防効果が弱まる可能性があることも示されています。そこで今回の研究では、①授乳を行うことはメタボリック症候群を予防する効果があるのか、②この予防効果は一部の年齢に限られるのかを検討しました。  今回の研究では、J-MICC研究の第1回目調査(ベースライン調査)に参加した、35–69歳の出産歴を持つ女性(11,118名)を対象としました。授乳歴、メタボリック症候群、その他の要因については、第1回目調査時に同時に測定を行いました(横断研究と呼ばれる研究方法です)。授乳歴については、子供1人あたりの最長授乳期間、授乳した子供の数、総授乳期間(最長授乳期間と授乳した子供の数を掛けることで算出)の3つで評価しました。また、授乳の予防効果が対象者の年齢層で異なるかを検討するために、対象者を55歳未満と55歳以上の2群に分けて統計解析を実施しました(先行研究の多くで対象者の年齢の平均値が55歳未満であり、55歳以降での授乳の効果が明らかではなかったためです)。

カテゴリー: メタボリックシンドローム | コメントは受け付けていません。

朝食欠食および短時間睡眠とメタボリック症候群との関連についての横断研究

研究ファイルNo.77:朝食欠食・短時間睡眠とメタボリック症候群との関連  朝食を欠食する人や睡眠時間が短い人は太りやすいことがこれまでの研究で報告されています。それでは、メタボリック症候群(MetS)との関連はどうでしょうか。MetSは肥満や代謝異常など、心血管疾患の危険因子が集まった状態を指します。これまでに短時間睡眠とMetSとの関連は報告されていますが、朝食欠食との関連についての報告はあまりありません。また朝食欠食に短時間睡眠が組み合わさることによりMetSに影響があるかどうかは明らかではありません。  そこで、私たちは日本多施設共同コーホート研究(J-MICC Study)のベースライン調査に参加された方のうち、解析に必要なデータがそろっていて、心疾患や脳卒中の既往がなく睡眠薬を服用していない29,780名(男性14,907名、女性14,873名)を対象として、朝食欠食の有無および1日の平均睡眠時間とMetS有病割合との関連について男女別に調べました。またMetS構成因子(肥満、血圧高値、中性脂肪高値、HDLコレステロール低値、血糖高値)ごとの関連も評価しました。朝食欠食者は「朝食の摂取頻度が週6日未満の者」と定義しました。また睡眠時間については、6時間未満(短時間睡眠)、6~8時間未満、8時間以上(長時間睡眠)の3群で対象者を分けました。解析では、朝食欠食なし群および睡眠6~8時間未満群を基準群としました。  解析の結果、男性の朝食欠食および短時間睡眠はMetS有病割合と正に関連していました(図1および2)。女性では本関連は観察されませんでした。また朝食欠食の有無と睡眠時間を組み合わせた解析では、MetS有病割合との関連は男女ともに大きく変わりませんでした。MetS構成因子ごとの解析では、朝食欠食および短時間睡眠は男女ともに肥満と正に関連していました。本関連は、食事の質の指標(栄養パターン)を調整することによって有意ではなくなり、食事内容の影響が大きいことが分かりました。

カテゴリー: メタボリックシンドローム, 食事 | コメントは受け付けていません。

両親に高血圧の方がいる人の体重が20歳より10kg以上増えた場合、その人の高血圧のリスクは4倍以上に高まる

研究ファイルNo.76:体重増加と両親の高血圧の組み合わせによる高血圧のリスク  成人の体重増加は高血圧のリスクです。また両親に高血圧の方がいる場合、自分も高血圧になりやすいことが分かっています。それでは両親に高血圧の方がいる人の体重が増えた場合、その人の高血圧のリスクはいっそう高くなるのでしょうか。  私たちはJ-MICC研究に参加された約4万5千人について、成人後の体重増加と両親の高血圧を組み合わせて、高血圧の有病率を比べました。その結果、体重が20歳の時より10kg以上増えていて、かつ両親のどちらかに高血圧の方がいる場合、高血圧のリスクが2倍以上、そして両親どちらも高血圧である場合には4倍以上もリスクが高くなることがわかりました。このことは現在の体重が正常範囲であってもあてはまりました。  もしあなたのご両親に高血圧の方がいらっしゃれば、そして体重が20歳の時から10kg以上増えていれば、仮にあなたの今の体重が正常範囲内であっても、高血圧には要注意です。もしかすると少しダイエットしたほうが健康にいいかもしれませんね。

カテゴリー: 肥満, 高血圧 | コメントは受け付けていません。