日常の身体活動と血中炎症性サイトカイン濃度の関連

研究ファイルNo.25:身体活動の増加が炎症を改善する可能性

血液中に炎症性の物質が増えると、動脈硬化や糖尿病、がん等さまざまな生活習慣病のリスクが高まります。過剰に蓄積した内臓脂肪からサイトカインと呼ばれる炎症性の物質が血液中に放出されますが、近年、運動不足によって衰えた筋肉からも数種類の炎症性のサイトカインが放出されるということが分かってきました。内臓脂肪に加えて不活動な筋肉からも炎症性サイトカインが放出されれば、それらの炎症性物質の血中濃度はさらに上昇してしまいます。

先行研究により、血液中のいくつかの炎症性物質(例えば、C-reactive protein[CRP:シー・アール・ピー]やInterleukin[IL]-6[アイ・エル・シックス]と呼ばれるもの)が、日常の身体活動の増加により改善(減少)することが報告されています。しかし殆どの先行研究では、対象者自身が記入するタイプの調査票を用いて身体活動の評価が行われており、客観的に測定された正確性の高いものではありません。加えて、上述のCRPやIL-6以外の他の筋肉由来の炎症性物質(例えば、IL-8やIL-15等)への身体活動の影響についてはこれまでにほとんどわかっていません。

そこで今回、J-MICC研究佐賀地区のベースライン調査に参加された1,838名を対象として、加速度計付き歩数計を用いて客観的に評価された身体活動量と、筋肉から放出されることが報告されている5種類の血中炎症性サイトカイン(IL-4, IL-6, IL-8, IL-15、TNF-α[ティー・エヌ・エフ・アルファ)の関係について検討しました。その結果、日常的に身体を多く動かす者で、TNF-αとIL-15(図1)の血中濃度が低値を示すことが分かりました。さらに、全体的な炎症レベルを表す指標(測定された5種類全てのサイトカイン値を反映)について解析しても、同様の結果が認められました(図2)。

これらのことから、習慣的に身体活動を高めることにより筋肉由来の炎症性サイトカインが抑制される可能性が考えられます。この研究成果は、将来的に身体活動を通した炎症対策に役立てられることが期待されます。

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出典:

  • Nishida Y, Higaki Y, Taguchi N, Hara M, Nakamura K, Nanri H, Imaizumi T, Sakamoto T, Horita M, Shinchi K, Tanaka K. Objectively measured physical activity and inflammatory cytokine levels in middle-aged Japanese people. Prev Med 64: 81-87, 2014.
カテゴリー: J-MICC研究概要, メタボリックシンドローム, 動脈硬化, 糖尿病   パーマリンク

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