日本人男性におけるSLC17A1遺伝子多型は、コレステロール恒常性と高ホモシステイン血症に関係する

研究ファイルNo.32:尿酸排出に作用する遺伝子が、肝臓のコレステロールとホモシステインの代謝に関係している

 尿酸とは、細胞内で新陳代謝が行なわれた結果、最後にできる老廃物の一つであり、痛風の発症に関与しています。現代人の多くは、尿酸値が高くなっている大きな原因としては食生活などの生活習慣が欧米化したことが挙げられます。欧米では「Disease of Kings(王の病気)」と呼ばれる痛風。美食ゆえのぜいたく病と揶揄されてきましたが、遺伝的な影響も発症に関与する、ということが近年の研究結果からわかってきました。
 人間は尿酸を体内で分解・処理できないので、尿として体外に排出しています。尿酸は腎臓の機能により排出されます。その尿酸排出に関与する遺伝子の一つであるSLC17A1が、肝臓にも発現することが認められています。そこで、私たちは今回、J-MICC研究に参加された1,842名の方々において、肝臓で代謝されるコレステロールの指標となるLDLコレステロール/HDLコレステロール比(LH比)と、心血管病と関わるホモシステインの血中濃度の二つの指標を用いて、肝臓におけるSLC17A1遺伝子の作用を検討しました。
 解析の結果、SLC17A1遺伝子のrs1165196多型のT型とrs3757131多型のC型を持つ日本人男性は、LH比(設定値2.0)(図1)とホモシステイン値(設定値10.0nmol/mL)(図2)が設定値を超える可能性が低いことが明らかとなりました。この結果は、生活習慣である、日常の身体活動・運動強度やアルコール摂取量、その他栄養素の摂取状況などの影響を調整しても保たれるものでした。
 これらの結果から、SLC17A1遺伝子多型の保有が、LH比やホモシステイン値に影響することから、心血管病のリスクファクターとして検討できる可能性があります。また今後、研究が発展し、SLC17A1遺伝子の役割が明らかとなれば、尿酸のみならず、コレステロール代謝とホモシステイン代謝の共通メカニズムが見つかるかもしれません。

図1図2

出典:

  • Koyama T, Matsui D, Kuriyama N, Ozaki E, Tanaka K, Oze I, Hamajima N, Wakai K, Okada R, Arisawa K, Mikami H, Shimatani K, Hirata A, Takashima N, Suzuki S, Nagata C, Kubo M, Tanaka H.
    Genetic variants of SLC17A1 are associated with cholesterol homeostasis and hyperhomocysteinaemia in Japanese men. Sci Rep. 2015 Nov 3;5:15888. doi: 10.1038/srep15888.
カテゴリー: J-MICC研究概要, メタボリックシンドローム, 動脈硬化, 尿酸, 遺伝子多型   パーマリンク

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