日常的な食事パターンと肥満関連遺伝子多型が血液中の中性脂肪値に与える影響

研究ファイルNo.36:食事が血液中の中性脂肪に与える影響はADRβ3Trp64Arg多型によって異なる

 血液中の中性脂肪が高値になると、心臓病につながる恐れがあります。血液中の中性脂肪は、日常的な食事摂取に大きく影響を受けると考えられています。地中海式の食事(果物・野菜、ナッツ、種実類などの摂取が多い食事)は中性脂肪を下げる効果があることが報告されていますが、日本人の食生活との関連は明らかではありません。また、血中の中性脂肪は、遺伝の影響も受けることが知られています。注目されている遺伝子の1つに、βアドレナリン受容体遺伝子(ADRβ)があります。特に、ADRβ3(Trp64Arg)の変異型の遺伝子は肥満遺伝子とも呼ばれ、Trp/Arg型またはArg/Arg型を持っている人は、変異型を持っていない人(Trp/Trp型)にくらべて代謝量が約200 kcal/日低下する(肥満になりやすい)ことが報告されています。また、ADRβ3の変異型をもっている人は肥満になりやすいにも関わらず、血中の中性脂肪濃度は低いとの報告があります。

 私たちは、J-MICC研究に参加された1,720 人(男性955名、女性765名)を対象として、日常的な食生活(食事パターン)と中性脂肪との間に関連があるか、また、肥満関連遺伝子型(ADRβ2Gln27GluとADRβ3Trp64Arg)の違いにより、食事パターンと中性脂肪との関連に違いがみられるかを調査しました。

 統計解析の結果、日本人の代表的な食事パターンを4つ(健康型、欧米型、魚介類型、パン食型)導き出しました。各食事パターンと中性脂肪との間に関連は見られませんでした。次に、遺伝子型別にこれらの関連を検討しました。その結果、Trp/Arg型またはArg/Arg型をもつ人で、パン食型の傾向が最も高い人では中性脂肪が有意に低下していました(図1)。一方、Trp/Trp型では、そのような関連はみられませんでした。今後、遺伝的背景を考慮した食生活を取り入れることにより、心臓病などの生活習慣病の予防に役立てることが期待されます。

ADRβ3遺伝子多型別の食事パターンと血液中の中性脂肪値の関連

出典:

  • Nanri H, Nishida Y, Nakamura K, Tanaka K, Naito M, Yin G, Hamajima N, Takashima N, Suzuki S, Nindita Y, Kohno M, Uemura H, Koyama T, Hosono S, Mikami H, Kubo M, Tanaka H, for the Japan Multi-Institutional Collaborative Cohort (J-MICC) Study Group. Associations between dietary patterns, ADRbeta2 Gln27Glu and ADRbeta3 Trp64Arg with regard to serum triglyceride levels: J-MICC Study. Nutrients 2016, 8 (9), 545.
カテゴリー: メタボリックシンドローム, 遺伝子多型, 食事   パーマリンク

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