コーヒー摂取行動に関連した遺伝子多型の発見

研究ファイルNo.40:12番染色体24.12-13領域がコーヒー摂取量を決めている可能性

コーヒーは私たちの身近な嗜好品です。日本ではコーヒーは緑茶に次いで2番目に広く飲まれています。近年欧米では、コーヒー摂取行動に関連する(よりコーヒーを多く飲む傾向を示す)遺伝子多型が発見されました。しかし、日本人を含むアジア人において、コーヒーの摂取へと傾くような遺伝子多型はまだ調べられていませんでした。

そこで今回、J-MICC研究10地区(千葉、岡崎、静岡・大幸、高島、京都、静岡桜ヶ丘、愛知県がんセンター、佐賀、鹿児島、徳島)ベースライン調査に2004-2012年に参加された、35歳から69歳の11,261人の方々ついて、コーヒー摂取行動と関連した遺伝子多型を調べました。方法には、ゲノムワイド関連解析(GWAS)という全遺伝子情報を網羅的に測定する方法を用いました。コーヒー摂取量は、参加者の皆さんにご記入いただいた質問紙より情報を得て、1日のコーヒー摂取カップ数を計算しました。

結果として、12番染色体24.12-13領域に存在する、rs2074356 やrs671等の24つの遺伝子多型が、コーヒー摂取と関連していることが分かりました。rs番号は遺伝子多型の定義されたID番号のことです。一番強くコーヒー摂取行動と関連していた箇所は、HECTD4という遺伝子上に存在するrs2074356でした。HECTD4は、様々な生命活動に関わるユビキチンという物質を輸送する機能を持ちます。rs2074356の遺伝子変異(Aアレル)は有意にコーヒー摂取と関連が認められ、この遺伝子変異を持たない人と比べて、遺伝子変異が1つ増えるごとにコーヒー摂取量が1日あたり約0.20カップ増えるという効果が確認できました。タバコを吸う人では、コーヒーを飲む人が多いという先行研究がありますので、タバコの影響を除外するような解析も行いましたが、同様の結果が得られています。さらに、先行研究においてrs2074356がBMIと関連するという報告があったので、BMIの影響を除外するような解析も行いましたが、同様の結果が得られました。今回の研究より、コーヒー好きには遺伝子の影響も関与している、と言えるかもしれません。ただ、今回判明した遺伝子多型が、どのようにコーヒー摂取に結びつくのか、詳しいメカニズムはまだ分かっていないため、今後はより詳しいメカニズムの解明が望まれます。

図1.マンハッタンプロット(性、年齢、喫煙、BMI補正済み)

図1.マンハッタンプロット(性、年齢、喫煙、BMI補正済み)

 
ゲノムワイド関連解析(GWAS)の際に結果を示すのに用いられるマンハッタンプロットという図を示しました。横軸に染色体番号を、縦軸に-log10P-valueを取っています。赤色のラインはp値が5.0×10-8のレベルであり、それより上にあるプロットはコーヒー摂取行動と有意に関連があることを示しています。12番染色体に有意な関連のプロットが認められます。その中でも一番強くコーヒー摂取行動と関連していた箇所は、HECTD4の遺伝子多型でした。

出典:

  • Nakagawa-Senda H, Hachiya T, Shimizu A, Hosono S, Oze I, Watanabe M, Matsuo K, Ito H, Hara M, Nishida Y, Endoh K, Kuriki K, Katsuura-Kamano S, Arisawa K, Nindita Y, Ibusuki R, Suzuki S, Hosono A, Mikami H, Nakamura Y, Takashima N, Nakamura Y, Kuriyama N, Ozaki E, Furusyo N, Ikezaki H, Nakatochi M, Sasakabe T, Kawai S, Okada R, Hishida A, Naito M, Wakai K, Momozawa Y, Kubo M, Tanaka H. A genome-wide association study in the Japanese population identifies the 12q24 locus for habitual coffee consumption: The J-MICC Study. Sci Rep. 2018;8(1):1493. doi: 10.1038/s41598-018-19914-w.
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