日本人一般住民における自覚ストレスおよび抑うつと遺伝子酸化損傷の関連

研究ファイルNo.42:精神ストレスは、遺伝子損傷マーカーである尿中8-OHdGの濃度と関係している

過剰な精神ストレスなどによる精神的不健康は、循環器疾患などの身体的不健康にも関連することが知られています。ヒトの遺伝子(DNA)が損傷される過程で生成される8-ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OHdG)の血中あるいは尿中の濃度は、循環器疾患やがんなどとの関連が報告されています。遺伝子損傷は、精神ストレスによる疾患発症のメカニズムのひとつである可能性が考えられていますが、8-OHdGの濃度と精神ストレスや抑うつとの関連についての検討は十分ではありませんでした。

今回、ジェイミック スタディ佐賀地区の5年後調査に参加された8,454人について、過去1年間に感じた精神ストレスや抑うつについて尿中の8-OHdGの濃度との関連を検討しました。その結果、精神ストレスが高いと回答した方たちは約24%、低いと回答した方たちは26%であり、精神ストレスが高いことは、抑うつが高いことと関連していました(図1)。

また、精神ストレスが高いと8-OHdGの濃度は高く、一方、抑うつの高さとは関連がみられませんでした。(図2)。高い精神ストレスと8-OHdGとの関連は、身体活動量の影響を調整すると弱まったことから、精神ストレスによる遺伝子損傷への影響は、身体活動の量を増やすことである程度予防できる可能性も考えられます。

以上より、精神ストレスが高いと、遺伝子損傷を多く引き起こす可能性が示唆されました。今後の更なる研究により、精神ストレスによる疾患リスクを低下させることに役立てることが期待されます。

図1.精神ストレスと高い抑うつとの関連 図2. 精神ストレスと抑うつの尿中8-OHdG
図1.精神ストレスと高い抑うつとの関連 図2. 精神ストレスと抑うつの尿中8-OHdG


出典:

  • Shimanoe C, Hara M, Nishida Y, Nanri H, Horita M, Yamada Y, Li YS, Kasai H, Kawai K, Higaki Y, Tanaka K. Perceived stress, depressive symptoms, and oxidative DNA damage. Psychosomatic Medicine, 2018; 80(1):28-33.
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