栄養パターンとメタボリック症候群との関連

研究ファイルNo.52:栄養パターンとメタボリック症候群の有病率との関連:日本多施設共同コーホート研究ベースライン調査から

 食事とメタボリック症候群(Metabolic syndrome、MetS)との関連を調べる方法はいくつかあるが、最近、個々の食品ではなく食パターンに着目した分析がよく用いられている。これには、ある特定の理想的と考えられる食事パターンにどの程度従っているかによって評価する方法(a priori approach)や、手持ちの食事摂取データに主成分分析や因子分析を適用し、食パターンを抽出する方法(a posteriori approach)などがある。栄養パターンの分析は、手持ちの栄養摂取データに主成分分析や因子分析を適用してパターンを抽出する方法であり、最近、中国、イラン、アフリカにおけるいくつかの研究において、この方法を用いてMetSや空腹時血糖値との関連が検討されている。

 今回、日本多施設共同コーホート研究のベースライン調査に参加した35-69歳の男女30,108人を対象として断面調査を行い、栄養パターンとMetSとの関連を検討した。食習慣は、46項目の食物摂取頻度調査によって評価した。MetSの診断は、Joint Interim Statement Criteria 2009に基づき、腹囲の代わりにBody Mass Indexを用いて行った。残差法を用いてエネルギー調整をした21項目の栄養素摂取量に因子分析を適用して、3つの栄養パターンを抽出した:因子1(食物繊維、カリウムおよびビタミンパターン);因子2(脂肪および脂溶性ビタミンパターン);因子3(飽和脂肪酸、カルシウムおよびビタミンB2パターン)。ロジステイック回帰分析を用いて性、年齢、調査地域、飲酒・喫煙習慣、エネルギー摂取量、身体活動量、学歴などの交絡因子となりうる変数の影響を調整した後、因子1はMetSおよびその5つすべての構成要素の有意に低いオッズ比と関連していた(図1)。因子2は、MetS、肥満、高血圧の有意に高いオッズ比と関連していた(図2)。因子3は、MetS、高血圧、血清中性脂肪高値、HDLコレステロール低値の有意に低いオッズ比と関連していた。以上、栄養パターンの分析は、食事の質を評価し、それとMetSとの関連を調べる上で有用であると考えられた。

出典:

  • Iwasaki Y, Arisawa K, Katsuura-Kamano S, Uemura H, Tsukamoto M, Kadomatsu Y, Okada R, Hishida A, Tanaka K, Hara M, Takezaki T, Shimatani K, Ozaki E, Koyama T, Suzuki S, Nakagawa-Senda H, Kuriki K, Miyagawa N, Kadota A, Ikezaki H, Furusyo N, Oze I, Ito H, Mikami H, Nakamura Y, Wakai K. Associations of nutrient patterns with the prevalence of metabolic syndrome: Results from the baseline data of the Japan Multi-Institutional Collaborative Cohort Study. Nutrients 2019; 11: 990. doi: 10.3390/nu11050990.
カテゴリー: メタボリックシンドローム, 食事 パーマリンク