遺伝的リスクスコアと腎機能との関連

研究ファイルNo.53:36個の腎機能に関連する遺伝的多型と腎機能との関連

 慢性腎臓病(以下:CKD)は慢性的に腎臓の機能が低下し、体内のイオンバランス保持や老廃物の排出が難しくなる病態です。我が国のCKD患者数は、約1,330万人であると推計されています(2013年)。また、CKDを経て、人工透析が必要になる方も多く、個人のQOL低下や生産力低下など社会への影響も大きいと考えられています。

 近年、CKDに関与する遺伝的要因が明らかになっており、J-MICC Studyでも腎機能と関与する遺伝的変異を菱田らが2018年に報告しています(研究ファイルNo.46:日本人における腎機能関連遺伝子の網羅的解析)。

 こうした背景をもとに、今回の研究では、遺伝的な要因の累積的な効果とCKDとの関連をJ-MICC Studyの参加者11,293名を対象に検討することにしました。

 その結果、18個の一塩基多型(SNP)をもとに計算した遺伝的リスクスコア(GRS)(図1)が上昇すると、腎機能のリスクも上昇するという結果を得ました(図2)。さらに、腎臓病の有無を区別するモデルに関しては、遺伝的要因を加えたモデルの方がわずかに遺伝的要因の入っていないモデルよりも判別能が有意に高い結果を得ました。

 統計学的には有意な関連を示しましたが、CKDに対する遺伝的な要因による累積的な効果は、当初の予想に反してごくわずかでありました。これは、CKDの予防として非遺伝的な要因(高血圧や糖尿病など)の重要性を示唆している可能性があります。今後は、他の集団で再度検証されることが必要になります。

出典:

  • Fujii R, Hishida A, Nakatochi M, Furusyo N, Murata M, Tanaka K, Shimanoe C, Suzuki S, Watanabe M, Kuriyama N, Koyama T, Takezaki T, Shimoshikiryo I, Arisawa K, Katsuura-Kamano S, Takashima N, Turin TC, Kuriki K, Endoh K, Mikami H, Nakamura Y, Oze I, Ito H, Kubo M, Momozawa Y, Kondo T, Naito M, Wakai K. Association of genetic risk score and chronic kidney disease in a Japanese population. Nephrology 2019; 24: 670-673.
カテゴリー: 腎臓病, 遺伝子多型   パーマリンク

コメントは受け付けていません。