時計遺伝子の遺伝子多型と2型糖尿病

研究ファイルNo.41:概日リズム(体内時計)を司るClock遺伝子の多型は2型糖尿病の罹りやすさに関連している可能性がある

2型糖尿病にかかっている人は世界的に増加しています。肥満は2型糖尿病を引き起こす主な要因ですが、日本人は肥満頻度が少ないにもかかわらず2型糖尿病が多いことが知られています。多くの生命活動には約24時間周期で変動する概日リズム(体内時計)が存在していますが、その異常が様々な疾患と関連することが報告されています。そこで私たちは、J-MICC研究に参加された2,485名(男性1,243名、女性1,242名)の日本人について、概日リズムを司る時計遺伝子のひとつであるClock遺伝子の3つの多型と2型糖尿病との関連について調べました。

Clock遺伝子の遺伝子多型のひとつであるrs1801260のTT型を示す人に比べて、TC型あるいはCC型を示す人は糖尿病を有する割合が高く、この関係は、年齢、性別、肥満度や喫煙・飲酒習慣、運動習慣、エネルギー摂取量などの生活習慣の個々の違いとは関係なく認められました(図1)。

2型糖尿病になりやすい遺伝子型を持つ人は、食事や運動などの生活習慣により気を配り、生活リズムを整え、血糖値の上昇に注意する必要があると考えられます。

Clock遺伝子多型rs1801260と2型糖尿病との関係

出典:

  • Uemura H, Katsuura-Kamano S, Yamaguchi M, Arisawa K, Hamajima N, Hishida A, Kawai S, Oze I, Shinchi K, Takashima N, Suzuki S, Nakahata N, Mikami H, Ohnaka K, Kuriyama N, Kubo M, Tanaka H; Japan Multi-institutional Collaborative Cohort (J-MICC) Study Group. A variant of the CLOCK gene and related haplotypes are associated with the prevalence of type 2 diabetes in the Japanese population. J Diabetes. 2016 Sep;8(5):667-676.
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